メンター通信 第75号
           発行日2010.4
           営業力&リーダーシップ力の高め方
		   
         もう18年も前になります。 
私は人前で旨く話したくて、デールカーネギーコースという話し方教室に入ることになりました。 
この教室は、その5年も前から知っていましたが、参加できる状態にならずようやく参加できることになったのです。 
この教室は、1回3時間半で週1回。12講まであります。 
第1講は、オリエンテーションで自己紹介の仕方と講義の内容の説明です。それと宿題が与えられます。 
宿題は次回話すテーマが与えられ、練習をしてくるというものです。 
そして第2講からは、全員の前で2分間スピーチが始まります。 
毎回1回ないし2回話すことになります。 
1週間練習してきた話を、人前で話すのはとても緊張します。 
その上、インストラクターが話の途中で、話し方をコーチしてくるのです。 
ただでさえ緊張している上に、こんな風に話しなさいなんて言われると、頭が真っ白になってしまってどうすればよいのか解らないまま2分間のスピーチが終わってしまいます。 
こんな事で話し方がうまくなるんだろうかと疑ってしまいます。 
それで全員のスピーチが終わりますと、毎回受講生が誰がよかったかを投票します。 
一つは進歩賞、もう一つは達成賞。 
これがまたうまく出来ていまして、賞を取った人は貼り出された紙に自分の名前を書いていくのです。 
講が進むにつれて、自分の名前が中々出てこないと焦ってきます。 
そして以前よりまして練習をするようになります。 
練習さえすれば、うまくなくても進歩賞は取れるわけですから・・・ 
私も最初の賞を取るまで時間が掛かりましたので、かなり焦った覚えがあります。 
こんな具合で、コースが進んでいきます。 

ところが、このトレーニングは自分が人前で話すより、人が前でコーチされているところを見ることの方が力が付くのです。 
           12講のうち最初は話し方が中心で進められますが、話し方に慣れてきた中盤ぐらいから、もう一つ課題が加わってきます。 
           それは、デールカーネギーの「人を動かす」の原則を実行するというテーマです。 
           私は話し方をトレーニングするだけのつもりで入ったので、人間関係の勉強をするなんて思いもよりませんでした。 
           人間関係トレーニングは、まずテーマが与えられます。
 
         例えば、人間関係を伸ばす法であれば次の9つの原則から一つ選びます。
         
         
         - 批判も非難もしない。苦情も言わない。
- 卒直で、誠実な評価を与える。
- 強い欲求を起させる。
- 誠実な関心を寄せる。
- 笑顔で接する。
- 名前は、当人にとって、最も快い、最も大切なひびきを持つことばであることを忘れない。
- 聞き手にまわる。
- 相手の関心を見抜いて話題にする。
- 重要感を与えるー誠意をこめて。
 
         3週間掛けて、この人間関係を伸ばすルールを実行するのです。 
           そして3週間後2分間スピーチで発表します。 
           そのスピーチの仕方ですが、最初出来事を1分40秒話します。 
           次の相手に促す行動をワンフレーズで言い切ります。 
           最後は、その行動をしたら得られる利益を言って終わります。 
           この話し方をマジックフォーミュラーといいます。 
           このように、@テーマが与えられる A実践をする Bそれをみんなの前で報告するという形が3度ほど続けられます。 
           この方法が製造現場や事務職などように目の前で作業を行う仕事ではなく、営業マンやリーダーなどいつも現場についておれない職種には、効果的であることを学びました。 
           もう一つ受講生としてではなく、学んだことがあります。 
           コースが終了したにもかかわらず私は、この話し方教室に卒業研究生として残ってトレーニングをする機会を得ることができました。 
           卒業研究生というのは、どういうことをするかといいますと、受講生の皆さんの話す見本を実演するのが主な仕事です。 
           その他は会場の準備、進行のお手伝い、そして受講生のアフターフォローがあります。
 1つの講は、セクションがAとBに別れています。 
           それぞれ受講生は一つずつ合計2つの話を準備してきます。 
           それに対して卒業研究生は、当日のサンプルが1回、次回の予告が1回話します。ですので、受講生の2倍の4回話をする必要があります。 
           前にも書いたように、デールカーネギーの話し方教室では実際に起こった出来事を話すことになっています。 
           以前に経験した話は、まだよいのですが人間関係のルールを適用した結果を報告するということになりますと、常に二人の相手に対して行動を起こしていかなければならないのです。 
           当然サンプルですので、人間関係がよくなったという報告が求められます。とはいえ嘘を報告する訳には行きません。 
           ぶっちゃけ、3週間でそれほど大きく変化があるということはありません。 
           この話題を見つけるのが本当につらい作業になります。 
           そんなとき私は気づいたのです。 
           それは『小さな変化を見逃さない』ということです。 
           実は、これが人との関わりを持つ仕事で最も大切なことです。 
           
           リーダーなら、自分の部下のどこが伸びたのか。 
           部下本人さえ気づいていない点を見つけてあげる。 
           個人向けの営業なら、お客さんのよい点を見つけてお客さんと一緒によりよい生活を考える。 
           法人向けなら、その会社がどうなりたいのかを知り、手助けをすることです。 
           小さな成長を、見逃さず観察することです。 
           私がラッキーだったのは、サンプルを話さなければならないという使命があったため成長した点を探さなければならなかったことです。 
           短所や欠点は、観察しなくても耳に入ってきます。 
           ところがよくなった点は、意図的に見つけようとしなければ見つかりません。 
           このことを思い知らされました。 
           これを仕組みにするには、@テーマを与える。A実践する。B報告する。そしてその報告に対して、全員で激励の拍手とみんなからの賞賛を形にするのがよいと思います。 
         心に描いた夢が、自分をつぶす
                      
  皆さんは、麻雀というゲームをやったことがありますか。 
私は、学生時代に麻雀を覚えました。このゲームはツキが7分で腕が3分なんて言われています。 
もっとツキの方が、比率が高いかもしれません。 
私は、社会人になっても幼馴染とよくやっていましたが、当時私は、腕さえあれば必ず勝てるものだと信じ込んでいました。 
ところが腕に重きをおくと勝てる確率が低くなるばかりか。 
もっと悪いことが起こります。 
まず最初は、勝てないのは自分の腕がないからだ。 
もっとうまくならないといけないと思います。 
これは、まあいいとしましょう。 
次に、勝てないのは自分に才能がないからだ。と思い出します。 
自分を否定しだすわけです。 
さらに負けが続くと周りのせいにします。腕もないのにツキだけでやっているヤツが悪いとなるわけです。これは流石に性質(たち)が悪い。
こんな根っこの暗い性格だった人間が、29歳のときに目標設定プログラムというのに出逢いました。50数万円もするカセットテープをひたすら聞いて、自分をプラス思考に変えて行くのです。
 
「心に描いた夢は必ず実現する」というのがそのプログラムで最初に教えてもらうことで、潜在能力は無限であり、夢や願望を思い描き書き出すことからやろうというものです。 
とは言え、自分ひとりでカセットテープを聞いていても挫折するのは見えています。 
そこでこの教材を売っている営業さんがアフターフォローとして毎月勉強会をしてくれたのです。 
私もその勉強会で、夢や願望を書き出しました。 
家を建てる。お金持ちになる。旅行へいくなど。 
書いた内容は、人に見せるものではないので、恥ずかしいぐらいなことをドンドン書き出していきます。 
これで自分の制限をはずしていくのだと思います。 
願望を書き出したら、次に、願望を目標に書き換えてその実行計画を立てます。 
目標と願望の違いは@具体的であることA期限が切ってあることB紙に書いてあること。の3つが揃うと目標になるそうです。 
      その目標を段階を追って達成していくプロセスを書き出していきます。 
      その勉強会では、最初に学習しているテープの内容の復習があり、その後達成状況を話していくというような進め方です。 
      最初1ヶ月に1度のこの勉強会が楽しみでした。 
      ところが、進むに連れて私の根っから暗い性格が出てくるのです。 
      といいますのは、出席している人たちが、どんどん達成したことや自分が如何にプラス思考で模範的な人間であるかということを話し出した頃からです。 
      自分は、出来ていない。みんなについていけていない。と思い出したのです。落ちこぼれです。 
      最初は正直にその話をしましたが、参加者からの叱咤激励が弓矢のように刺さってきました。 
      益々自分は出来ない能力のない人間なんだろう。そう思い出したのです。 
      あるとき、私は社会貢献をする目標で献血を月に○本すると掲げました。それを聞いた参加者の人が、「じゃ私は、その上を目標にすると言い出したのです」 
      ご存知の方もおみえでしょうが、献血にはある一定のインターバルが必要です。 
      私は、その限界を目標にしたにも関わらず、その上を目標にするという人が出だしました。 
      「なんだぁ。ええ加減なもんだったんだ。」 
      その瞬間、しばらくこの会を欠席することを決めました。 
      
      確かに目標達成の手法はよく解りました。しかし他人と比較競争して目標を決めていいんだろうか。 
      本当に目標を達成するというのは、自分にとっていいことなんだろうか。そんな疑問が湧いてきたからです。 
      その疑問が最近になってようやく解決の方向に向かってきました。まずは、飯田史彦先生の生きがいの創造です。 
      特に講演CDは、役に立ちました。 
      ます人は生まれ変わると考えてください。そして今回の人生で与えられた課題をどれだけ達成できるかが大切で、他人と課題が違うんだから比較しても仕方がないというものです。これは腑に落ちました。
もう一つが、竹田先生がまとめられた自己啓発と時間戦略のCDです。 
      
      自分の欠点や短所はまだ見ぬ神から与えられた宝物で、自分を磨いたものだけに神がこっそり教えてくれる得がたい宝物になるという言葉です。このことを潜在能力といいます。 
    少し見方を代えると以前に出来ないと思っていたものがすべて潜在能力なんですね。 
    人は生まれて直ぐに何もできません。それを一つ一つ出来るようにしてきた訳です。 
    ところが小学校、中学校へ行き徐々に他人や世間と比較されだしたころから、結果が直ぐに出ないものはやらない。という習慣がついてくるようですね。 
    そして、やる前から「どうせ無理。」なんて言う条件反射が身に付くんですよね。 
    そう考えるとリーダー(家庭では親かもしれません)の使命は、以前には出来ないと思っていたことをそのチームのスタッフが達成できるように持っていくことではないでしょうか。 
    会社に置き換えれば、他社がやっていないことで世間に認めさせることたと思います。 
    その物的証拠が、お客さんからの支持率である顧客占有率で1位になることです。 
    しかもそれが企業の業績を上げる一番早い方法だとしたら、これをやるしかない。 
    この地域でこのことについては、あなたの会社が一番ですよね。と言われるのは社員さんにとって、何よりもの働きがいになるのではないでしょうか。 
    社員さんがやっている仕事の意義が社会的に認められた瞬間です。これが会社の存在意義というものかもしれません。 
    先日魔法のフライパンの発明者の錦見社長の講演をお聞きしました。「あんたのところの代わりはいくらでもいる。」そう言われてから、自分のところ独自のものを開発しようと決意したそうです。
  自分の夢を描くのも大切かもしれません。それよりも以前には出来ないと思っていることにチャレンジし続けていくことの方が本質だったんだとこの歳になって気付きました。 
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