メンター通信 第70号
発行日2009.11
成績を上げたければ営業マンにやる気を出させるな
以前、ある社長から営業マンの教育について相談を受けました。
業績が中々上がらないということでした。
私は早速その営業マンと面談を行いました。
「業績が上がらないそうですが、どういったことが原因と思いますか?」
「やる気のあるときは、いいのですがモティベーションがなくなると全然訪問する気が起こらず、業績が上がらないのです」
この話を聞いて
「もっともな話だ。やる気を出させればいいんだよ」
そう思われる方は、元々モティベーションが高いスーパーセールスマンか、ゼロから新規開拓をしたことがない方と思います。
私はこの営業マンにアドバイスをしたのは、全く逆のことでした。
「やる気を出すから駄目なんですよ」
「営業の業績とやる気との相関関係はありませんよ。」
確かに一時的に、今月末までにいくらの売り上げを上げるという目標があると業績は上がりますが、長く続けていくとその効果もなくなります。
さらに私たちの時代のときのように人並み以上に出世し、車、エアコン、テレビ、家などを手に入れる所有欲が旺盛な世代ではない人たちには、とりわけ寝耳に水ではないでしょうか。
その方に、まず最初にアドバイスしたのは
「淡々と訪問してください。仕事ですから」
「えっ、やる気を出さなくていいんですか」
「下手にやる気を出したら、それはいつか落ちこみます。」
「落ち込んだら、それを言い訳にして自分をごまかしてしまいませんか」
「そして訪問しても駄目だと言い訳し活動量が減って、本当に業績が上がらなくなる。
こうして駄目になっていく営業さんを山ほど見ています。」
皆さん、販売力の公式を思い出してください。
訪問回数の2乗×その質 です。
訪問回数つまり活動量が原因で、結果が業績。
悪くなるに決まっています。
活動量が少なくなる原因にはもう一つあります。
それはたまたま売れたことを自分の実力と思い込み、天狗になることです。
話は戻りますが、淡々と訪問をしてくださいと言ったのには、別の理由があります。
営業の質が落ちるからです。
以前私の尊敬する宮崎本店の宮崎社長からお聞きした話ですが、大手コンビニから取引の依頼があったそうです。
そのとき面談した年の若いバイヤーさんが、宮崎社長に
「宮崎本店さんの強みは何ですか?」
と聞いたそうです。
宮崎社長は、「大吟醸とか味とか、・・・」そのようなことを言ったそうです。
ところがそのバイヤーさんは
「コンビニからすると、宮崎本店さんの強みは安定供給できることです」と言ったそうです。
カレーハウスココ壱番の宗次さんも、同じようなことを言っていました。
ビールのコップは冷やして出した方が、ビールは旨い。
ところが店によっては、そのような対応が物理的に無理なことがある。そんなとき本部にいた宗次さんは、全店にコップを冷やさないように指示したそうです。
ある店は冷えた美味しいビールで、違う店では生ぬるいビールだったら逆にクレームになるからです。
このことから私が気づかされたのは、品質には高い低いという以前に、安定していることが根底にあるということですね。
営業でも同じです。
営業マンが感情。つまり自分の都合で、元気よく訪問して素晴らしい対応をした。
しかし別のときは、暗〜い顔をして入ってきて、人を寄せ付けない。
そんな営業さんとはあまり付き合いたくないですよね。
これが営業の品質です。
ですので、自分の感情を持ち込まずに、まずはルール通りに訪問することをお伝えしたのです。
このことは、一人の営業マンだけに留まりません。
先日私は、家庭用のビデオカメラで自分の講義しているところを撮影してみました。
撮影してみると画面が暗く、人に観てもらうにはもう少しライトアップしないと駄目なことに気づきました。
そこで撮影用のランプをインターネットで探して、販売しているメーカーにメールをしました。
そういう作業は、昼中ほとんど出来ないので、夜か朝です。
その時は、朝お客さんへ出かける前でした。
するとものの5分も経たないうちに、担当の中澤さんという方から、FAXが送られてきました。
私は朝出かける前に、どういうランプが必要かを知ることができたのです。
この対応をすっかり気に入った私は、この会社からランプを買うことにしたのです。
ところが、インターネットで注文をしたところ、返信されたメールの文章を見て、私はキャンセルしたくなったのです。
その文面には、「カード与信確認後お送りします。」とありました。
「おい!、客を信用しとらんのか。それにしても信用調査が終わってからとはなんじゃぁ!」
このメールは、たぶん中澤さんではないと思います。
発送担当者が、バカ正直にメールを返したのだと思いますが、このメールで私はこの会社への印象が一気に変わってしまいました。
なんとも後味の悪い買い物になったのです。
これは会社の仕組み作りが出来ていないのが原因です。
営業マンはいいんだけど、あんたの会社からは物は買いたくないと営業マンが言われたら要注意です。
企業間競争において営業活動は、毎日行われています。
たまたまよい対応が出来たとか、たまたま販売がうまくいったというのでは、何年も競争し続けるうちに、何れ負けてしまいます。
営業で勝つためには、仕組みが必要です。
その仕組みを社員全員で、力強く実行しレベルを上げていくしか方法はありません。皆さんの営業の仕組みは如何ですか。
(参考教材:業績向上の業務規則集)
小6の息子から教えられた戦略とは
年中無休24時間受付を名刺に刷っている私が、子供と遊ぶというのは、年に何回あるか分かりません。
この仕事を始めてから、自宅を事務所にしていますので、これでも以前よりは接する機会は増えました。
一番下の小学校6年生の息子が、
「父ちゃん将棋の動かし方、知っとる?」
と聞いてきました。
私は仕事のパソコンを叩きながら、
「動かし方ぐらいなら、知っとるよ」
将棋とは珍しい。
また駒の動かし方について、話しかけてきたので流石に仕事の手を止めて、動かし方を一緒にインターネットで検索しました。
すると今度は、将棋の駒があるかと尋ねてきました。
それほど興味があるのかを思い私は子供の頃に使っていた将棋の駒と将棋盤をおじいちゃんに探してもらうことにしたのです。
数日後、将棋盤に向かい駒の動かし方を覚えたばかりの小学校6年生の息子と本将棋をしました。
結果は、もちろん私の勝ちです。
それから1,2回やったのですが、ぜんぜん勝負になりません。
当然負けが続くと息子のやる気もなくなってきましたので、守りの戦法、穴熊を教えました。
といっても私も将棋は素人ですので、インターネットで検索して
「これが穴熊や。この体制にすればよい」
とその画面をプリントアウトして渡しました。
穴熊は、その陣組みをするだけで攻めにくくなります。
そしていざ対戦してみますと、以前のように適当に対局をしているだけでは勝てなくなりました。
どうやって攻略するかを、考えながら将棋を指して始めて勝つことができたのです。
私はこのときふっと気づいたのです。
たった5分、陣形を知るだけでこれほど強くなる。
「これが、戦略があるか、ないかの違いか」
と小6の息子に教えられたのです。
そういえば、私が、営業の研修をするときにはたった2つのことを軸にして、お伝えします。
一つは、営業力の公式です。
もう一つは、スポット型セールスの手順を中心とした段階的な営業方法です。
この2つは私の実体験と照らし合わせても、確かなことです。
まず営業は訪問件数または接触回数を増やす方法を考えねばなりません。
最低3ヶ月に1回です。それがニュースレターでもいいし、はがきでもいいし、訪問でもなんでもいいんです。
あの人からお知らせが来たと、自分のことを思い出してもらうことです。これが見込み客の維持になります。
次に、見込み客の見つけ方です。
このときには、スポット型セールスの手順を利用します。
ニーズなきところに販売なし。
販売前の販売という人間関係を構築し、こちらの話を警戒心なしに聞いてもらう状態になって初めて本当のニーズの調査を行います。
そのために私は車の営業時代に、相手のタイプ、考え方が解るまでは、短い時間しか会わないように心がけました。
また商品説明や売り込みは一切しません。
せいぜい、展示会があるので来てくださいぐらいです。
ところがこの2つを知っていれば成果が上がるかというとそうではありません。
先ほどの息子も、陣形を作ることで手ごわくはなったのですが、勝つまでには至りません。
まず経営の基本原則を理解し、それを自社の経営状態に合わせて応用していくと実績が上がってきます。
厄介なのが、小さい会社の場合弱者の戦略でないと勝てないという点です。
たとえば差別化です。
人とのやらないことを考えるには、そのような考え方の習慣を身に付ける必要があります。
私も皆さんの手助けに多少でもなれるように、経営戦略の原則を伝え続けて行きたいと思います。
(参考教材:営業力強化・四つの対策)
一緒に社長の戦略実力を上げて景気をぶっ飛ばせ
今年の5月から毎月1度土曜日に、3名の塾長に集まって頂いて、勉強会を続けています。
この勉強会を思いついたのは、今年の初めです。
戦略社長塾の研修会にオブザーバー参加していたときです。
戦略社長塾は、1回2時間、4回で経営の基本原則を勉強するものです。
私も経営者という立場になんとなくなりましたが、学生時代も含めて経営の勉強なんてやったことがなく、経営の基本なんて聞いたこともなかったのですが、この勉強会ではその基本原則を理解することができます。
しかし経営の8大要因、たとえば小さい会社がどういう商品を手掛ければいいのか。とか。
どういうルートで商品を流通さえればいいのか。
どういう手順で営業地域を広げていけばいいのか。
を伝えきれないと気づいたのです。
そこでまず、塾長さんに集まって頂き月に1度ですが、経営戦略の各論の勉強をしてきました。
私を含め4名で進めていますが、私も毎月新しい気づきがあり、経営戦略の実力が上がっていくのを感じることができました。
そこで、来年は参加をオープンにして皆さんと一緒に実力を上げて行ければと思います。
勉強会は多くても10名ほどで進めたいですので、先着6名程度です。参加されたい方は、来年の予定を抑えて今すぐご連絡ください。
まだランチェスター戦略って、どいうものかも解っていないとおっしゃる方は、12月8日ショートセミナーを行いますので、こちらに参加されるとよろしいかと思います。
お申込楽しみにお待ちしています。
詳しくは、ランチェスター戦略ショートセミナーページへ。
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